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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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女王の日記



12月×日

きょう、おとうさまから にっき をかってもらいました。
きょうからこの にっき を かきます。
わたしは まだ 6さい です。
おかあさまが きょう いっしょに あそんでくれました



◯月×日

きょう、おしろで おとこのことあいました。
なまえ を おもいだせません。
とてもむずかしい おなまえだった。
だけど とても やさしい おとこのこでした。
きょうは すこし あたまが クラクラします。


◆◇◆


5月×日

わたくしがこの日記を書き始めて、もう何年経ったのかしら。
日記帳も、もう何冊目かしら。
そういえばこのまえのお掃除の時に、メイドさんから日記を間違えて捨てられてしまった。 まだ小さかった時の日記帳。 もう思い出せない出来事。
でもいいの、メイドさんを責めることなんてしてはいけないし、これからまた日記を書けばいい。


6月×日

今日、新しい執事がやってきたわ。
ジャックという名前の執事。 わたくしと歳は10くらい違うみたい。
とても面白い髪の色。 優しい人。
だけど、あの人はきっと・・・。


◆◇◆


(日付なし)


お母様が死んだ
お父様も死んだ

わたくしは1人
だれもいない だれかの道具となる

だれかだれでもいい
助けて

従兄の◯◯さまが、と◯ても◆◆◆◆・・・・
◆◆◆◆◆◆◆ならば、◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆・・・
(途中から涙で滲んでいて読めない)




(日付なし)

傀儡となった。
ジャックに聞いたこと、自分で思い出しただけでも醜く思う。
これからどんな辛い人生が待っているのでしょう。
これからどんな人形になるのでしょう。

もうそれで構わない。
息をするだけの、人形で構わない。



◆◇◆


8月×日

今日、まぼろばの島を探しに鳥が飛び立ったようでした。
わたくしは詳しいことは知りません。知ったところで、何もできないから。

今はただ、無事に帰ってくることと、この国の行く末を祈るだけ。


◆◇◆


11月×日


今日お気に入りのカップを割ってしまいました。 ジャックのせいではなく、わたくしのせいなのですけれども。
泣いてばっかりのわたくしが、どこまでやれるかはわかりませんけれども、でももう傀儡の女王は嫌なのです。

ティアラは必要ない。 涙ももう、枯れ果てたはずですから。



◆◇◆


2月6日


ながいこと続いてきた日記も、今日で最後になるでしょう。
この革命を、わたくしは・・・。

今思えば、いろんな方に世話になってきました。
執事のジャック、メイドのエルフ。
お手紙を交換していたセシリオ様・・・・・・。
ほかにもたくさん、たくさんの人に支えられていた。
それに寄りかかっているだけはダメなのです。

わたくしはこの革命に身を投じます。
死ぬ覚悟も、できています。
王とは、国民のために命を捧げる。 わたくしはたとえ傀儡であったとしても、この身は国民のためにある。

小雨が降っている。
ちいさな雨粒が、薄氷を割っている。
もうすぐ春でしょう。
小さく、弱々しい蕾が膨らんで、冷たい空気に耐え、花を開く。
わたくしは誰かの花でもないし
誰かを照らす、太陽でもない。
でもそんなわたくしでも、夢を見ることが許されるのなら。
それが今この時だったとしたら。


これから城を出ます。
ジャックと共に、革命軍を目指すことになるでしょう。
日記は置いてゆきます。
もしもわたくしが生きて帰って来た時、その時はまた続きを書きましょう。

さようなら。 わたくしの愛しい城。

わたくしが嫌いな、城。



◆◇◆


3月×日

あぁ、やっとひと段落つけた。
革命は終わりました。
成功、したのです。
嬉しい、ただその一言だった。

ただ、やはり失うものもあった。
命は一つしかないもの。 仕方のないことなのかもしれないけれど、自分自身の無力さを悔しく思う。

それと

ジャックが、執事をやめると。

彼は片目を失い、義眼すら入れることができない位の傷を負ってしまった。
瞼の上から胸にかけて、縫った痕が生々しく残ってしまった。
でもジャックは最後まで笑顔だった。
それが彼なのかもしれない。
昔からいつも抱え込む性格だったから、今は笑わせた方がいいのかしら。

でも今はまだわたくしの仕事を手伝ってくれています。
なぜそこまでするのかしら。 ほんと世話焼きさんだわ。



そう。
そういえば1人の翼人が、わたくしを助けてくださいました。
今は離宮で体を休めているはずです。
まだジャックが合わせてくれません。 わたくしは礼を言いたいだけなのに。 ほんと頭が固いというか、融通が利かないというか。

研究所の対処も考えないといけない。
まだまだやることは山積みです。




◆◇◆

女王はペンを置くと、日記を閉じた。
そして灰色の空を見る。
「まだまだ、これからですわね」
女王の群青色の美しい瞳は、灰色の雲の上の、青い空を見つめた。



Fin

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