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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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二人で一つ
追記より南のイベント小説です
二人で一つ








わたしの名前はルーデン=ゲルディア。
イカロスの翼の精鋭兵。
身長は153cm、年齢は先月21歳になった。
そんなわたしの幼馴染がいる。
アリオト・トリメチル。
菜食主義で妙に頭が良く、なんでもできる。 そんな嫌な奴。
わたしは彼が嫌いだ。
いや、嫌いだった。





恋で悩む、というのはいつ以来だろうか。 というより、わたしは恋というものを感じたことはなかったような気がする。
前世では恋をしていたのだろうか。 そんなことわかるはずもないが。
とりあえず、この胸の気持ちを誰かに聞いてもらいたかった。
精鋭の人で、恋の話が出来そうな人。
「だめだ・・・・・・みんな個性ズバ抜けてる人ばっかりじゃない」
精鋭兵の女性はだめだ。やめておこう。
かといって男性を無理だ。 なんせ話したこともない人だっている。
困っていたわたしに1人の女性の顔が浮かんだ。
「あっ・・・・・・」
そうだ、あの人なら。


「エスメラルダさん!」
わたしは同じ精鋭兵の上官を失礼ながら呼び出した。 振り向いた彼女に深々をお辞儀をする。
「すみません呼び出して」
「いいって! かわいい後輩の頼みなんだから」
それで、話ってのは?
エスメラルダさんは気にしてないようだった。
「あの、相談があるんです」
「相談?」
「はい。 わたし、アリオトのこと。 なんか・・・・・・好きに、なったみたいで」
エスメラルダさんは驚いたような顔をした。 無理もない、いつものわたし達の様子を見てればそういう顔にもなるだろう。
精鋭だけでなく、イカロスの翼にはわたし達幼馴染組は犬猿の仲で知れ渡っているはずだ。
「いつもの接し方を見ても、そうは思えないけど?」
「わたしはいつもそうです。 素直になれない・・・・・・。 でも、どうしてもこの気持ちだけはあいつに伝えたいって、そう思ったんです。 だから」
「アタシに相談に来たと」
「はい。 不躾なお願いだということはわかってます」
「そうだねぇ。 ゲルディア、アンタは小さい頃からアリオトを見てきたんだろう?」
「はい。 一緒に住んでました」
「だったらなおさらだ。 ちゃんと素直にならないと。 アリオトの短所も長所も詳しく知ってるのはアンタだけだ。 それを支えることができるのもね」
わたしはそれを聞いて、目を見開いた。
「アリオトもきっとゲルディアの本当の気持ちを受け入れてくれるはずさ」
その言葉が、不思議と心を落ち着かせてくれた。
エスメラルダさんにお礼を言うと、急いでアリオトの部屋に向かった。
でも今はまだ気持ちを伝えない。 わたしがここに来た理由。
「なんだ、ゲルディアか」
「今回の鳥籠の女の件よ」
「なにか動きがあったのか?」
「北にいるのが発見されたみたい」
そういうとアリオトは眉をピクリと動かした。
「提案があるわ。 この戦い、協力しましょう」
「なんでまた」
「君の異能とわたしの異能。 二つで一つだってことは知ってるでしょ」
そう。
わたしの異能は幽閉。 2mほどの鳥籠を創り出し、相手をその中に入れることができる。
だが、入れるだけだ。 鍵を閉めたり開けたりはできない。 その時に必要になるのがこのアリオトの異能、解放だ。
彼は2mほどの鍵を創り出し、鳥籠の鍵を閉めることができる。 もちろん、開けることもだ。
「時には手助けも必要だとは思わない?」
「・・・・・・そうだな」
「とりあえず明日、頼んだわよ」
「わかった」
この私の選択が
あんなことになるなんて、今は考えもしなかった。





私は自分の対空服に着替え、アリオトを待っていた。 いつも通りの赤いブーツには念のため底の部分に暗器を仕掛けている。
アリオトは飛ぶスピードがとても速い。 私はいつもアリオトに追いつくことは出来なかった。
だが私だってこの数年間遊んでいたわけじゃない。
飛行の訓練は人一倍やってきた。 きっと今のアリオトにも追いつけるはずだ。
・・・・・・そこで思考が止まった。
私はなんでこんなにアリオトの事ばかり考えるようになったんだろう。
「気持ち悪い・・・・・・」
「体調管理でも怠ったのか」
いきなり後ろからアリオトがやってきた。
「ち、違うわよ。 少し緊張してきただけ」
「珍しいな」
「あら、いつものことよ」
そう平然に繕って、私は飛ぶ準備をし始めた。
彼も対空服についているゴーグルを装着すると大きく息を吸った。 そしてこちらに合図をする。
「じゃあ、行くわよ」
地面を蹴って、空を飛ぶ。
冷たい空気が頬を掠め、一気に上空へと昇る。 灰色の空を目の当たりにして、私は驚いた。
「数が多いわね・・・・・・!」
鳥籠の女、その鳥がたくさんいた。
「数は減ったと聞いてたけど、あれって偽報だったのかしら?」
「さぁ? 確かにこれほどとは思ってなかったな」
アリオトはそういいながら、ゴーグルを外した。
「いいのかしら、外しちゃって」
「このゴーグル視界が悪くなるからな」
その視界が悪くなるゴーグルを使って、あのスピードで空を飛んでいたというのか。 人間離れにもほどがある。
「さて、それじゃあ」
「あぁ。 行くぞ!」
この言葉を合図に私達は異能を発動させた。
私は周りを飛んでいる一匹の鳥籠の女を目標にし、その位置の座標を見定め、パチンと指を鳴らした。 音と共に現れた大きな鳥籠が、女を閉じ込める。
「アリオト!」
「オーライッ!」
鳥籠と同じ大きさの鍵をアリオトは、鍵穴めがけて投げた。 鍵は5cm程の鍵穴に寸分違わずすっぽりと収まった。
重い金属音が鳴り響く。 鍵の閉まった音だ。
鳥籠の女は、そこから出ようと鳥籠を蹴たぐる。 鈍い音がして、鉄の鳥籠にヒビが入ったようだ。
「ぐうっ・・・・・・!」
左の二の腕に突如深い切り傷が現れ、血が噴き出す。 痛さに顔を顰め、血を止める為に傷を押さた。
「ゲルディア!」
「いいからあんたは目の前の敵を殺りなさい!」
鳥籠と私は一心同体。 使えば使うほど体は疲労するし、鳥籠に敵からヒビでも入れられたら、その傷は私の体にまで及ぶ。
女はまだ籠を蹴り続けている。 周りにも鳥籠の女が集まってきた、アリオト1人では対処できないだろう。
「あー! もう! そっちがその気ならぁああ!!」
痛みを無視し、私は両手を叩いた。
叩いた衝撃で左腕に鈍痛が走る。 だが、どうでもいい。 もう終わることだ。
「左に5匹右に3匹 1匹は鳥籠 アリオトと交戦中の鳥は2匹 よって散らばっている残り3匹と2匹をまとめて鳥籠へと閉じ込める為には・・・・・・」
両手を広げ、指を鳴らす。
「4mの鳥籠を創ればいいってことよ!」
3匹と2匹を閉じ込める為の4mの鳥籠。
それを2つ創り出した。
「これはおまけよ。 さっさと消えなさい!!」
そして手を右に振り払う。
すると耳障りな轟音と共に、女を閉じ込めていた大きな鳥籠はぐしゃぐしゃに潰れた。 それから数秒して鳥籠は消え失せる。
「うっ・・・・・・」
視界が回る。 酷い目眩と頭痛が一斉にして襲いかかってきたようだ。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫・・・・・・。 大丈夫だから」
こちらに飛んでくるアリオトに大丈夫だと言い聞かせる。
もう心配ないだろう。 周りに鳥籠の女はいないはず。 別の場所に行って少し休憩を。
「っ!? ゲルディア! 後ろだ!!」
アリオトの聞いた事もない大声。 反射的に後ろを向くと、そこにはいなくなったはずの鳥籠の女が、すぐ近くにいた。
逃げようとするも、目眩のせいか上手く飛ぶことができない。
女は細い足を、こちらに向かって蹴り上げ、そして・・・・・・。


ここから先はよく覚えていない。
ほんの数秒の出来事。 それが5分くらいのように長く思えた。
よく目に焼き付いているのは
アリオトが私を庇って前に出てきた
そして、急速落下する時に見えた、灰色の暗い空。
それだけだった。





「アリオト、アリオト!!」
ボロボロに壊れた翼、その翼に付いた真っ赤な血。
どうやら南の何処かに不時着したようだ。 幸い私は無事だ。

アリオトが私を庇ってくれたから。

彼は私を鳥籠の女から守るだけでなく、落下する時まで、下敷きになった。 自分からだ。
血まみれになったアリオトを抱きかかえ、彼の名を呼び続ける。
だが彼は目を開けることはなかった。
最悪なことに、息も、してなかった。






夢を見ていた。
もう二度と見れないと思っていた夢。
俺はその夢をただ見ているだけ。


「イテッ!」
小さな小さな少女が転けた。 泣き出す少女を、幼い頃の俺は「大丈夫だよ」と慰めている。
少女はにっこりと笑った。 その笑顔はまるで太陽の光を浴びて咲き誇る可愛らしい花のようだった。
ピンク色の髪をした少女は立ち上がると、小さい頃の俺に言った。

「どうして?」

「どうして、私を1人にしたの」


突然周りが真っ暗になった。 笑顔を失った少女はこちらに向かって無表情で聞いてくる。

「違う、違うんだ」

「結局はあなたはいつも1人ぼっちで、誰かを悲しませることしかできない」

「違う・・・・・・俺はただ、あいつを守ろうと、力がほしくて」

「守る? どうして? あなたは私のことが嫌い。 守る意味がない」

「お、おれは・・・・・・」

「素直になれない哀れな星の子。 大切な人はあなたのそばにいるというのに」


そこで、夢は終わった。







あの日からだいぶ経った。 だがアリオトは目を覚まさなかった。
あの後、色んな治療を受けたものの、結果は悪いものだ。
全治一ヶ月。 意識不明の重症。
私が
私があの時、反応できていれば、きっとこんなことにならなかった。
「大体あんたはいつもそう。 一人でなんでも突っ走って、学習院の時からわたしに頼ることだってなくて、ずっと前を走ってた」
私は零れ落ちた涙を拭うこともせず、未だ目覚めないアリオトに話しかけ続ける。
「なんであんたはそこまで頑張れるの? 私の覚悟が足りないから? そりゃそうよね。 イカロスの翼に入ろうとしたのだって、あんたがイカロスに入るって子供の頃から言い張ってて、それに近づきたかっただけ」
アリオトの今までの行動を思い出して、また口を開く。
「ボロボロになって、いつも自分を追い詰めて。 それでなにが得られるっていうの」
「・・・・・・得られるものだって、あるさ」
掠れた声が聞こえた。
「! アリオト、体は」
「だい、じょうぶ。 そりゃ身体中が痛いけどさ」
体を起こすと、アリオトは私に言った。
「怪我、ないか?」
こんな時まで、他人の心配だ。
「っ・・・・・・! この、クソ男!!」
座っていた椅子から立ち上がり、憤った私はアリオトの胸ぐらを掴む。
「ふざけないでよ!! 怪我なんかありゃしないわよ! なんで自分の心配をしないの!? こっちの気持ちくらい、少しは考えなさいよ・・・・・・」
血に染まった左腕。
こんな怪我。アリオトの怪我を比べたら可愛いものだ。
「ごめん。 俺のせいで」
「そうよあんたのせいよ、この菜食主義者! あんたのせいで何もかも狂って、もう自分ではどうしようもないのよ! どうしてくれるっていうの・・・・・・。こんなの・・・・・・」
嗚咽を殺して、なんとか言葉を続ける。
「こんなの、どうすればいいのよ!! こんな気持ち初めてで、頭の悪い私では、処理がつかないのよ!」
私は始めてアリオトの前で泣き叫ぶ。 頬を止めどなく大粒の涙が零れ落ちる。
「ばか・・・・・・本当ばか・・・・・・。 女の子の気持ちくらい考えなさいよ・・・・・・」
「ゲルディア・・・・・・」
私の涙をみて、アリオトは驚いたようだ。
「もういい。 こんなクソみたいな気持ち、吐き出すわ」
顔を上げ、はっきりとアリオトに告げる。

「アリオト、私はあなたの事が好き」

物音一つしない病室に私の声が響き渡る。
しばらくしてアリオトは決心したように言った。


「ごめん」


その言葉を最初、理解できなかった。
ぐるぐると頭の中でその一言が回って、考えることができない。
「ごめん。 ゲルディア。 気持ちは本当に嬉しいんだ」
「そ、そうよね。 今まで散々文句言ってた私が! 急にそんなこと!」
「ゲルディア」
「私が一方的にあんたを想ってただけだったってことよね! だったらなおさらだわ。 これで心が晴れ晴れして「ルーデン!!」
アリオトの大きな声が私の言葉を遮る。 初めて名前で呼ばれた私はアリオトを見つめた。
「ごめん。 その言葉は、俺から言わせてくれ」
私の手を優しく握って、アリオトは言った。 彼の手はとても温かい。

「ルーデン=ゲルディア、俺はお前のことが好きだ。 お前がいいのなら、結婚を前提に、俺と付き合ってくれ」


「・・・・・・よろこんで」


気がつけばアリオトに抱きしめられていた。
「なによ・・・・・・もったいぶって。 ほんっと馬鹿じゃないの・・・・・・」
「ごめんって」
「許さないわよ」
「許してくれよ。 やっと守りたい大切な人を思い出したんだ」
アリオトはにっこり笑う。
「君だ、ルーデン」
「くそ男・・・・・・、待たせすぎよ」
私はそう言って、アリオトの頬を引っ叩いた。


まぁ、彼がもう一度気を失って、私は医者から怒られたのは言うまでもない。

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これからもブログの運営頑張って下さい。
失礼致しました。
2014/01/30 (木) | URL | つねさん #-[ 編集]
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