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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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儚き想い
追記より公式イベントの小説です
儚き想い

人工の西国
[登場キャラ]
ティアー女王




空を、目指す。
あの灰色の空の奥には、きっと綺麗で美しい青空があるのでしょう。
わたくしはこの目で青空などみたことありませんが。
今日も灰色に染まった重い空を見上げ、ため息をついた。





皆が寝静まる夜中。
西国の女王、ティアーは1人、部屋で手紙を書いていた。 テーブルを照らすのは薄暗い蝋燭の灯火のみ。 その光はゆらゆらと、ベランダからの風に揺れていた。
『お母様 お父様へ
お久しぶりです。 と言っても、昨日手紙を書いたばかりですね。
そちらでは元気にしていますか?
わたくしのほうは相変わらずです。
この国がどうなっているのか
ほかの国がどうなっているのか
わたくしにはわかりません。 知る必要もないのでしょう。
わたくしは所詮傀儡の女王。
この立場にいて、暮らしていくだけ。
お母様。
わたくしはわかりません、何のために産まれ、なぜ息をし、歩き続けているのか。
お父様。
わたくしはわかりません、いつ誰かの役に立って、いつ倒れ、いつ死んでゆくのかも。
・・・なんて。
昨日も書いたような内容を、続けてしまって申し訳ありません。
しかしわたくしはもっと知りたい。
知りたいのです。
雨はどこからやってきて、そしてどこへいくのか。 雲はどこに向かっているのか。
あの灰色の雲の奥には、どんな世界が広がっているのか。
他にも知りたいことはまだまだたくさんあります。
だけれど、それはわたくしが知る必要がないのでしょう。

そうだお父様 お母様。
わたくし、チェスを理解しはじめました。 お父様とお母様がまだ生きていらっしゃったら、ぜひお相手をしたかったです。
それでは。 また手紙を書きますね。
ティアーより』
そう綴った手紙を、ティアーは便箋に入れると、タンスへと向かった。
一番上の引き出しを開けると、中には何通もの手紙が入っていた。
先ほど書いた手紙をそのタンスの中に入れると、ティアーは祈った。
「どうか、お父様とお母様に届きますように」





それが終わると、ティアーはベランダへ出た。
手すりに腰をかけ、空を見上げる。
「黒い、いつもの空ですわね」
何百回も見た、同じ空。
いつも夜は手すりに座って空を眺めている。 城の者からは「危ないからやめてくれ」と言われているのだが、彼女はやめようとしない。
ここが好きだった。
ここだったら、父と母に近づいた気がして。
両親が亡くなったと聞いて、最初は理解できなかった。
そのあと頭がこんがらがって、真っ白になって、3時間ほど気を失ってたらしい。
彼女は考えた。
両親が死んで、生きる意味はあるのか。
自分だけ生き残って、何をしろというのか。
まだ彼女は若かった。まだ19歳のうら若い夢を見る少女。
そんな少女が、両親を失い、今や一国の女王だ。
しかし女王と言っても操られているだけの存在。 見かけだけの女王。
女王という存在が、彼女にとってどんなものかわからなかった。
「東の王女さまは、わたくしよりかずっと聡明で気高く美しいお方なのでしょう・・・・・・」
頬を伝った涙を、女王は拭おうともしなかった。
「さて、もう寝ましょう」
暗く重い夜空を見て、女王は呟いた。





早朝4時。
女王はその時間に起きる。
まず起きて最初にすることは冷たい水で顔を洗い、歯を磨くこと。
それが終わったら、いつも手袋やハンカチを入れているクローゼットを横にずらした。 そして壁に小さく空いた鍵穴に、ネックレスのようにぶら下げていた鍵を入れた。
鍵の開く音が聞こえると、女王はにっこり微笑んで壁を押した。
すると壁の奥にあった部屋が姿を表した。 扉が開いた途端、冷たい空気が彼女の頬をかすめた。
「さて、今日はどのドレスにしましょうか」
隠し部屋の正体、それはティアー女王が命よりも大事にしているドレスが飾られている部屋だったのだ。
一着一着、きちんとマネキンに着せられていて、裾がどうしても床についてしまうので、床は綺麗に磨き上げられている。
もちろんこのドレスの管理、隠し部屋の清掃はすべて女王がやっているのだ。
「今日はフリルが多めのドレスがいいですわ」
そういって女王が手にしたのは群青色のAラインドレス。
リボンやフリルが他のドレスより多めのデザインだ。
女王はそのマネキンを軽々持ちあげ、自分の部屋へと向かった。
ドレスが決まったのなら、次は髪型。 女王はヘアドレッサーの前に座ると、念入りに髪を梳かし始めた。
クルクルとカールした髪を、いつものツインテールではなくハーフサイドアップにする。
「完成ですわ」
そういって、女王は時計を見た。 既に6時だった。
ドレスに着替え、鏡で確認したあと、ベランダに出る。
「まぼろばの島・・・・・・。 その島に希望を託すべきなのか、否か」
空を見上げ、かなしそうな顔をする。
「無茶だけはどうか、やらないでください。 なにも知らないわたくしといえど、国民や、勇気ある方々が傷つくのは、悲しむのはもう嫌なのです」


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