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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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青い光と
青い光と

出演陣 ヴァーミリオン・レベッカ
ロワナ・ヴァルシス



「あぁ!! もうっ!!!!」
そう言いながら手にしていた資料をぶちまけた。
そのまま目の前の液晶モニターと睨めっこ。 3つあるキーボードの中、青色のキーボードを叩く。
「*が5つってことはWPA Keyは5桁?
いや、でももしかしたらWEP Keyを省略して5桁にしてるのかもしれない・・・・・・。 10進数なら0~9までの数字だから・・・・・・。 資料は使い物にならないし、こうなったらハッキングするしか」
パスコードに埋められて行く数字。
最後の数字をいれた途端、画面が赤くなりエラー音が鳴り響く。
「またエラー・・・・・・だったらこれでどうよ!! WPA Keyが5桁なら、それの3倍でWEP Keyは15桁になるはず。 10進数でも駄目ならアルファベットも入れれば!! お父様は2と9、S、V、Bが好きだって言ってたから、それが最後の5桁になる。 残り10桁は解読コードを埋め込んで・・・・・・」
EnterKeyを押すと、画面は解除され赤かったモニターがパズルの様に消えていった。
残されたのは同意書。
嬉しさでいっぱいだった私、ヴァーミリオン・レベッカはろくに読まず、サインをし送信。
お父様から出された課題をクリアしたことが誇らしい。
「さすがヴァーミリオン。 私の娘だ」
「お父様!! どうでした? 私、頑張りました!!!」
お父様は満足気に頷くと笑ながら言った。
「頑張ったぞ、ミリオン。 お前が自分からヴェラドニア軍に入るなんて夢にも思わんかった。 素晴らしい」
は?
どういう意味?
「なにそれ・・・・・・!!! お父様!!?」
「さっきの同意書は軍の物だ。 私が登録しておいたぞ」
モニターを睨むと確かにヴェラドニア軍のマークがでかでかと載ってある。
まさか!! まさか!!
「嘘っ!!! 嘘だと言ってお父様!!」
「はははっ、嘘ではないぞ」
「そんなはずないです!! ほら、試しに私をその鍛え上げられた手ででこぴんしてみてくださいよ!! きっと私も夢からすっきり目覚めるはずです!! ぎゃん!!!!」
言われたとおりお父様は太い指ででこぴんを繰り出し、私は痛さでその場から吹き飛んだ。
「わかったか?」
「・・・・・・夢ではないんですね」
でこを摩り、呟く。
「ミリオン。 お前は今日から軍人だ。 レベッカ家の恥にならぬよう鍛錬するのだ。 決して下っ端になるな!! 自らが率先し、戦場にゆくのだ!!!」


次の日、私はヴェラドニア軍にいた。
青い軍服を着込んで、敬礼まで正しく教えられて。
まだどこに所属するかなんて決めてない。 運動神経は悪くないけど、実践部隊にはなりたくないし・・・・・・。
「ヴァーミリオン・レベッカ!! 元帥がお呼びだ」
「はい!! ただいま」
なぜグラーク元帥が私に!?
どうせ、父経由の事だろう。
見知らぬ部屋に通され、目の前には大柄な男性。
ヴェラドニア軍元帥、グラーク・アスル・ヴァルジークがいた。
『歩く処刑台』とも言われる元帥、使えない者、不真面目な者を切り捨てていくらしい。
なるほど、篩にかけられたのか。
そう考えると肝が据わった。
いつもとは見違えるくらい厳しくなれ。 口癖を捨てろ。 私は軍人だ。
レベッカ家の恥をつくるな!!
「バルトーク・レベッカ大尉の娘と聞いた。 父の意志を継いだのか」
「お初にお目にかかります、グラーク元帥。 ヴァーミリオン・レベッカです。 私は父の意志ではなく、自らの意志で軍人になると申し出ました」
「自らの意志、というと」
「私は小さな頃から父を見てきました。 父が片腕を失うところも、右目を失くすところも全て見てきました。 父の勇姿は素晴らしく勇ましかった。 幼い私にとっての夢でした。 今は現役から遠ざかった父ですが、私に厳しく戦闘を教えてくれます。 私は父のような軍人になりたい」
なんてね。
そんなこと微塵も思ってないけど。
「どこに所属するのだ」
「所属・・・・・・でございますか?」
素っ頓狂な声を上げるとグラーク元帥は眉を顰めた。
「し、失礼しました。 実はまだ迷っており、決めてないのです」
近くにいた軍人から紙を差し出され、所属先に目を通す。
『っ!!! 研究室!!!?』
一瞬にして全部吹っ飛んだ。
「私、研究室に入ります!!!! 父は運動面には長けていましたが、どうしても頭が駄目だと言っていました!! えぇ、それは口癖のように!! なので父からは毎日勉強を教え込まれました!!! 研究なら大の得意です」



家に帰ると、父が満面の笑みで迎えた。
「どうだった?」
「・・・・・・」
そのまま素通りし、コートを脱ぐ。
現れたのは青い軍服ではなく真っ白の白衣。
驚きを隠せない父にはっきり言う。
「お父様・・・・・・じゃなくてお父さん。 私は軍人です。 あなたの意志を継ぐつもりはありません。 ですが、お父さんを目指します。 立派な軍人になって見せます」
毅然とした立ち振る舞いに父は笑って私の頭を撫でた。
「いつもの『すみません、ごめんなさい』 は無しか?」
ムッとする私に父はまた豪快に笑った。
「今日は疲れただろう。 ゆっくり休め」


部屋にはいると、パソコンの画面が光っている。
新着メールだ。
『 親愛なるヴァーミリオンへ
こんばんは、ヴァーミリオン。 最近見てなかったが、体は大丈夫か? 俺の方は元気だ。 うるさいくらいに元気だ。 昨日なんて、実験中に自分の服に炎が燃え移ったぞ、あいつは。今日一日中、ずっとそばにいる羽目になった・・・・・・。 別に嬉しいなんて思ってないぞ?
また会える日を楽しみに待ってるよ。 今度3人でお茶でもしよう。
竹馬の友 アレス・フォルックス・リラ より』
内容を読んで思わす吹いた。
アレス・フォルックス・リラとロワナ・ヴァルシス。
2人は私の小さい頃からの幼馴染だ。
アレスは気軽に話しかけてくれてすぐに友達になれたものの、ロワナはいつまで経っても心をなかなか開いてくれなかった。
最近やっと仲良くなったばっかりだ。
そんな事をしていると、またメールが届く。
『ヴァーミリオンへ
・・・・・・こんばんは。 久しぶりね。
研究ははかどってるかしら? 私は今、アレスから頼まれた研究をしてるわ。
レーヴァテインの炎を他の物質に移したいんですって。 自分でやったことのない事をよく人にお願い出来るわね、あの男。
・・・・・・まぁ、昨日は色々とお世話になったからいいけれど。 今日なんて・・・・・・。 思い出しただけで、恥ずかしい。
今度3人で遊びましょう。 じゃあね。
ロワナ・ヴァルシスより』
今度はロワナからだった。
とりあえず、2人に何が起こったのか気になる。
突然メールをよこしてくればいつもこれだ。
「アレスとロワナは仲がいいというか・・・・・・。 2人共付きあっちゃえば良いのに」
これは秘密事項だが、昔ロワナがお昼寝をしている時にアレスが本音を零した。
『俺、本当はロワナの事好きなんだ。 でも伝えられなくて』
そういいながら、ロワナの頬に手をやり付いていた花弁を取るアレスの横顔は優しかった。
「もう寝よう。 明日も早いから」
そう言って電源を切ってベッドに入る。
そしてそのまま泥のように眠りに着いた。


「おい、新入り!!! コップ6個持って来い!!」
「はぁい!!!!」
最初に所属されたのは他でもない食堂。
ここで上下関係を叩き込まれるらしい。
料理は得意だ。 むしろずっとここでも構わないくらいだ。
でも、研究したい。
「お待たせしました!!」
「お前、名前は?」
帰ろうとすると不意に声をかけられた。 敬礼し、しっかりと相手の目を見て自己紹介。
「新人のヴァーミリオン・レベッカです!! 希望所属先は研究室です」
「へー。 研究室ね。 ヴァーミリオンか・・・・・・。 覚えておくよ」
笑顔で言われ、こちらも同様に笑顔で返す。
「ありがとうございます!!」


あの日から早い事で2年。
私は研究室で毎日実験、研究三昧だ。
今は極秘に研究している事がある。
1人一つ異能を持っているこの世界。 もしかしたら1人一つではなく1人二つになれる可能性もあるかもしれない。
その異能の結晶体から能力を排出し、移す。
という高難度な実験。
でも、全部失敗に終わってる。
早朝。 いつも通り起きて、顔を洗い歯を磨き、自室に行くといきなり玄関のチャイムがなった。
誰だろう、こんな朝早く。
「はーい・・・・・・」
玄関のドアを開けると、目の前には山吹色のツインテールをした少女。
黒いジャケットに大きなリボン。 さらにはふわふわのスカート。
そして目を見張るほどの美少女。
「ロワナ!!?」
一目でそれが幼馴染だとわかった。
「おはよう、ヴァーミリオン。 今日は大事なお話にきたの」


「大事なお話って・・・・・・?」
部屋に入れるとロワナはパソコンに気が行っていた。
「ふむふむ。 最新型のコンピュータも揃ってる。 さすが軍ね」
嬉々とした声でロワナは言った。
「それで、本題に入るわ。 もうすぐで"ゲーム"が始まる訳だけど、ヴァーミリオンはヴェラドニア軍で出るつもりでしょう?」
「もちろんそうなるよ。 ロワナやアレスも出るの? 出るっていう言い方はおかしいけど、もしかしてギルド?」
「まさか。 私たちは監視」
冷酷な彼女の声。
監視という事は、もしかして運営委員会?
「運営委員会の監査班と番人にはいるつもり。 つまりヴァーミリオンとはゲームが終わるまで会えない。 だから今日会いにきたの」
再びコンピュータに目を落とすロワナ。
すると、あっと声を上げた。
「ヴァーミリオン、もしかして今異能について調べてるの?」
画面を指しながらロワナが尋ねてくる。
苦笑しながら、肩を竦めてみせた。
「そうなんだけど・・・・・・。 どうしてもうまくいかない」
「私も今、アレスから頼まれてレーヴァテインの火を別の物質に移してるところなんだけど、失敗。 異能は私たちの手では変えられないのかもしれない」
「人間にもともとからある能力だもん。 それをいじくることは駄目なのかもね」
でも。
ロワナほどの技術者でも出来ない?
見ただけで長さをミリ単位まではじき出し、そして軍の秘密情報にハッキング出来た彼女が?
「覚えてる? 私とロワナでふざけて軍の秘密情報にハッキング寸前まで持って行ったこと」
「今でも夢にみるわ。 かつてないスリルだったもの。まぁでもコンピュータのデータが全部消えたのがあれだったけど」
ふてぶてしく呟くロワナ。 私はその横顔を見てこっそり笑った。
「はぁ・・・・・・。 つまりそういう事、あまり無理な実験やると異能の結晶がどう反応するかわからない。 爆発して大変な事になるかもしれない。 ・・・・・・あなたは1年前の研究データを自分の異能で伝えていたらジャミングされて会話手段を一回失っている。 気をつけなさいよ」
そう。 私は去年の夏に異能『コミュニケーション』を発動し、出動中の上層部に研究結果を報告していたところ同じ異能をもった誰かに妨害され、一気に会話手段を失った。
その時の同僚に聞くと、バチッという何かが破ける音が響いたというからこれは鼓膜が破けた音だったんだろう。
私はそこで気を失ったから覚えてはないが、話によるといきなり倒れたらしい。 大事に抱えた資料を撒き散らしながら。
そこからが大変。
母があたふたし、どうすればいいか分からなくなったらしく、もう治らないとか言っていたと。
結局私は治ったし、言葉も喋れるようになった。
手術したあと、こっそり先生から教えてもらった話が未だに忘れなれない。

「君のお父さん。 娘思いなんだね。 『どんなに高くてもかまいません。 どうか娘を助けてください!!』って、みんなの前で正座して言ってた」

「でも、助かったから良かったわ。 あなたのお父さんもお母さんもお金持ちだからね」
そういう問題なのか?
相変わらず彼女は着目点が1人だけズレている。
スタイルも良いし、髪の質も良いし、さらには美少女。 モテるはずだが、極度の人見知りという難点。
そして極めつけに、スレンダーすぎている。
・・・・・・私の言いたいことはもうお分かりだろう?
あえて口に出さないでおこうか。
「ロワナ。 これからどうするの」
「ショッピングに付き合ってくれない? 運営委員会の服が中華っぽいのだから、私の中世風の服じゃ合わないでしょ?」
「中世っていうかゴスロリだよね」
そういうとクスリとロワナは笑って立ち上がった。
「心の中では中世、見かけではゴスロリなのよ」
だから
「本当に、変なとこに目をつけるのよね」
その言葉に笑って返しながらふたりで部屋を後にした。

ショッピングが予想以上に長引き、終電が終わったのでロワナがうちに泊まり、アレスからお叱りを受けたのは言うまでもない。

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