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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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自己犠牲と慈愛の男
追記からパンドラ小説です。

短いです
自己犠牲と慈愛の男


【出演キャラ】
リオン
イフリート
ファルべくん (捺ちゃん宅)
タクミさん (白須宅) ※名前は出てきません。 都市伝説のお話として出てきます




この世界に神が降りてきた。
人間はその神を崇める。
しかし私は神を信じることはできない。
神という存在がどうしても、どうしても危険に思えてしまう。
軍人だから? いやいやそんなことではない。
これは一人の人間として、感じているのだ。

「だからなぜ分かってくれないのです!」
父の机に両手を強く叩きつけた。
コーヒーカップが振動で震えている。
「永久機関、あの組織はこの国に必ず良からぬことを持ち込む! 彼らが行動していない今のうちに、我がレベッカ財閥は別の国へ撤退すべきです!」
「無謀な真似はよさんか馬鹿者!」
父は私の意見に反対した。
「しかし、レベッカ財閥の売り上げは落ちる一方。 この国ではもうやっていけないと、あの組織ができる前からお父様もお母様も言っていたではありませんか!」
「それを今、行うべきというのか!」
「もちろんです! 今回の事件はほんのきっかけにすぎません。 ですがそのきっかけを逃すともうここからは出られません! ですから!」
父は荒々しく立ち上がると、私の胸ぐらを掴んだ。 そして低い声で威嚇するように言う。
「貴様のような若造に、この財閥の何がわかるというのだ! たしかに財閥の主権はリオン、お前に渡したがこの財閥の最高司令者はこの私だ! レベッカ財閥の誰かが暗殺にでもあえば考えんこともないが、現にあの組織が出来てなにもこの国には起こっていない! 充分な理由も無しにフィーダムデリアを出るなどもってのほかだ! 下がれ!」
後ろに突き飛ばされ、倒れそうになったがなんとか持ちこたえた。
「人が死んだあとだったら、もうなにも間に合わないというのに・・・・・・」
そう吐き捨てると私は父の部屋から出て行った。



アルヴァドール王国軍、2階。
部下であるファルべとイフリートに話しかけた。
「なぁ、お前達は守りたいものが守れないとしたらどうする?」
「なんでまたそんな事を?」
ファルべは文字を書いていた手を止めてそう言った。
「色々あってな」
「・・・・・・自分は」
壁に寄りかかっていたイフリートが静かに言う。
「自分は何としでても守り抜きます」
「でももう守れないって決まってるんだぜ?」
ファルべの言葉にイフリートは目を閉じてつぶやく。
「最初から何もかも決まっていると思ったらそれは大間違いだ。 世界というのはすべて決まった運命で進んでいるわけじゃない」
「イフリートらしい答えだな」
苦笑いをして私は言った。 彼は控えめに笑うと「リオンさんならどうするんですか」と聞いてくる。
「私だったら、自分の命を捨ててでも助ける」


その日の帰り。
12月に入った夕方はやはり寒い。 早めに帰って暖炉の火を焚きたいところだ。
時計台の近くまでなぜか来ていた。 もうすぐで時計台の鐘がなるところだ。
不思議と急ぎ足から駆け足へと変わった。 なぜだかは分からないが、ここは妙に怖い。
夕方が夜に変わるその時、時計台の鐘が鳴り響いた。
鐘が鳴り響く中、時間が止まったかのようにゆっくりと、ゆっくりと進んでいく刻。
まるで遠くが近くに、あるように。
なにも感じずに。
ただただゆっくりと時間はすぎていった。

「さよなら、通りすがりの人」

気づけば自分は道路に横たわっている。 朧げな視界が紫色の空を映し出した。 声を出そうとしても出なかった。
逢魔が時の鐘
恐らく自分はその都市伝説の犠牲になったのだろう。 確信は持てない。
幸いな事に幼い頃から受けた麻酔無しの人体実験で痛みという感覚は麻痺している。
内臓やらがどうやらグチャグチャらしい。
あぁ、なんて人生だ。
でも。
「殺してくれて・・・・・・ありがとう」
今はもうこの場にいないであろう自分を殺した犯人に言った。
革の手袋を外し、ポケットの中に手をいれ、小箱を取り出す。
中には綺麗なネックレス。
それと自分の指にはめてある指輪を見て微笑んだ。
「すまない・・・・・・。 君の、たん、じょうびなのに」
家で待っているであろう妻を想う。
「きみを、ずっと・・・・・・あいしいてる」





沢山の参列者。
その中に2人の軍人がいた。
2人とも、下を向いて
信じられないような顔で
上司の亡骸の前に立っていた。
「うそ・・・・・・だよな? だって昨日まで、あんなに笑って、怒ってて」
ファルべは流れ出る涙を拭うことなくつぶやく。
その隣にいたイフリートは拳を強く握った。
「リオンさん・・・・・・」
イフリートはリオンの棺桶に花を添えるとこう言った。
「必ず、必ずあなたを殺したやつを、自分は・・・・・・!」













ここはアンティークショップシオン。
カウンターに座る女性、ヴァーミリオンは自分の指にはめてある指輪を見て微笑む。
「今もずっと、愛してる」
そう言った瞬間、ヴァーミリオンの朱色の目が紫色に変化し、髪の色も毛先が鮮やかな赤に変わった。

「残念だけども、私はまだ生きてる。 永遠にここを彷徨い続ける」


END
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