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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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好きと嫌いの間
追記から小説です



緑色の髪をした少女は、目の前の設計図とにらめっこしていた。
複雑そうな設計図に、マーカーを使ってラインを引いていく。 その設計図にあったパーツを机の引き出しやら棚から持ってきて、腕を組みながら、首を傾げながら頭の中でパーツを組み合わせていく。
「どーすっかなぁ・・・・・・。 このままじゃなぁ・・・・・・。 パーツがいくらあっても足りねぇ」
ため息をつく少女。
彼女の名はヒサメ。 最近アークスになったばかりのデューマンである。
機械いじりが好きな彼女は、キャストの整備も行っている。
「なんだかんだ世話になってるからいい仕上がりにしてぇんだけどな・・・・・・。 俺の腕じゃまだ無理そうだな」
今は真夜中だ。 背伸びをし、もう一度ため息をついて頭を掻く。
長い髪を珍しく結んでいない。
そんな彼女の髪を、後ろから誰かが撫でる。
「もう夜遅いですよ」
「っ! ・・・・・・お前か」
そこにいたのは白と灰色のキャスト。
個体名obsesion。 みなからシオンと呼ばれているキャストだ。
「なんの用だ。 もう夜遅いんだろ、寝ろ」
「おやおやそれはこちらの言うべきセリフですよヒサメさん」
彼女を撫でる手が、スゥッと首筋を通り、肩へ下がる。
「わたくしに睡眠は不要。 ですが貴女には必要だ」
「んなもんわかってる・・・・・・。 でもこれだけは今日中に終わらせて」
シオンはその設計図を一度見ると、それを手にとってビリッと破った。
「んあぁあああっ!!!!! なーーーにやってんだこのクソ野郎!」
ヒサメは思わず椅子から立ち上がってシオンの頭をぺしっと叩く。 シオンにとってその痛みはティッシュを丸めたものが当たったのと同じだった。
「わたくしは新しいパーツなど要りません」
「ばっ、ばかお前、だからって言って破るこたねぇだろ! 俺がどんだけ悩んで徹夜して作ったと思ってるんだ!」
「逆にわたくしは、こんなものにために貴女が睡眠を削っていたということに憤りを感じていますよ」
その声は人間とは違い、機械の声だったが、背筋が凍るような、怒りを孕んだ声だった。
初めて聞くシオンの声に、ヒサメが一歩身を退く。
「わたくしは言いましたよね。 貴女はわたくしの事をなにも考えなくていいと」
「でも!」
「でも? 言い訳は聞きたくありませんね。 いい加減にしなさい、貴女の悪い癖だ。 わたくしを想ってくれなくて大いに結構、貴女は貴女であればいい。 その方が」
ヒサメの腰に手を回し、自分の方に引き寄せるシオン。
「壊しがいがあるでしょう」
「ほんっと性格歪んでるよなお前」
「ふふっ、好きに言いなさい。 貴女が何と言おうとわたくしは貴女を愛している」
「俺はお前を愛す資格はないと?」
「・・・・・・?」
シオンが首をかしげる。
「予想外の言葉です。 貴女がわたくしを愛する? 想定外、規格外。 どういうことです?」
「好きって言ってんだよこのドSキャスト! ちゃんとわかれよ! 好きなやつの気持ちだろ!馬鹿野郎が!」
ヒサメはシオンのボディパーツをべシベシ叩きながら言った。
その言葉はどうやらシオンにとっては考えられなかったものらしく、しばらく思考が止まっていた。
「・・・・・・おい、シオン? オブセシオンさーん?」
「好き・・・・・・? 貴女が、わたくしを」
「何回も言わせんな恥ずかしいだろ」
「・・・・・・もう一度言ってください」
「好きだ」
「・・・・・・、もう一度」
「ふざけてんのかテメェはよ?」
そしてそのキャストは嬉しそうにヒサメを胸に抱く。
「嬉しいです、これは嬉しいですね。 やっと貴女を自分のものにできたのですね」
「ちょ、力強い・・・・・・! いてぇ!」
「これはもうやることをやってしまわないといけませんねヒサメさん。 大丈夫、まだ夜は長いですよ」
「はーーーなーーーせーーー!! 俺は寝るんだよ! 離せって! それにお前はヒト型持ってねぇから何もできねぇだろ!」
隣の部屋のベッドにヒサメを下ろし、彼女を押し倒す。
「そうですね、では一緒に寝ましょう。 わたくしが優しく子守唄を歌ってあげましょう。 覚悟してくださいね。 ヒサメさん・・・・・・」
「お、おい、顔が、顔が笑ってねぇだろそれ。 てか、ベッド壊れる、なぁベッド壊れるって、おいやめろって! く、喰われるーっ!!」



次の日の朝、目覚めたヒサメは起き上がり、自分の横にシオンがいるのを見て一瞬理解ができず、そして夜中なにがあったのかも覚えておらず、かなり不安な気持ちになりながらも、もう一度横になる。
シオンはどうやらスリープモードのようだ。
「俺、キャストに嫁入りか・・・・・・」
自分の運命に悲観しつつ、困ったように、嬉しそうにヒサメはつぶやいた。


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