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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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無痛の叫び 2
追記より小説です


嘉峯が目を覚ました時は、海底ではなく自分の部屋だった。 急いで起き上がると、真横にいた耶式に止められた。 そこで嘉峯はようやく我にかえると、耶式に思わず抱きついた。
震えている嘉峯を、耶式は抱きかえす。
「耶式、私はなんでここに・・・・・・!」
「祭星様が運んできてくれました」
「祭星・・・・・・。 そうだ、祭星は!」
「かなり怪我をされていましたので、クロムウェル様が無理やりメディカルチームに放り投げに行きました。 ・・・・・・申し訳ありません、嘉峯様。 貴方の危機に駆けつけられなかった」
嘉峯はコツンと耶式の頭を小突く。
「お前はお前でやるべきことがあったんだろう。 それにこれは私が1人で突っ走ってしまったツケだ。 いいんだ・・・・・・」
さっきのことを思い出す。
ダーカー因子と言っていたあの力を。
・・・・・・今、私のこの力はダーカーの力なのだろうか。
「耶式、私は・・・・・・。 私はダーカーかもしれない」
「え」
「もし私がダーカーだったら、その時はお前に」
「待ってください嘉峯様! そんな冗談、急に信じられるわけが」



「なになにそんなに大事な話ではないよー。 まずは落ち着きなさいな」



部屋に入ってきたのはボロボロになったマフラーを首に巻き、いたるところに包帯やガーゼを当てている祭星だった。
しかも口にはトリメイトを咥えたままだった。
「祭星! お前大丈夫なのか!?」
「いやー。 私が行っててよかったよ。 耶式くんにも連絡しようとしてたんだけど、耶式くんが行ってたらもしかしたらここに2人ともいないかもしれないし」
「答えになってない! 大丈夫なのか?」
「見て分からない?」
その言葉の返しに嘉峯は言い詰まった。
どうみても、大丈夫ではなさそうだ。
「ま、ガンナーで行った私にも非があるけど。 いや~、ほんと嫌な相手だったね。 出来れば2度と、会いたくないかも」
「・・・・・・大丈夫じゃなさそうだが、元気なんだな?」
「はははっ。 こんな傷、慣れてるよ。 私は戦いのために鍛えられたようなものだし」
「お前は・・・・・・! 大体、お前だって生きているんだぞ! 少しは自分の体を気に掛けろ! 祭星も、耶式も、いつも戦っては怪我をするばっかりじゃないか・・・・・・! 怪我をしたら、痛いんだぞ・・・・・・!」
ずっと無痛症だった嘉峯は最近になって痛みを知った。 その痛みがどれだけ辛いかもよくわかった。
だからこそ2人に同じ思いを少しでもしてもらいたくない。
耶式は戦闘のために造られた。
祭星は戦いのために力を得た。
「嘉峯様・・・・・・」
「嘉峯ちゃん。 私たちがなんで戦うかわかる?」
トリメイトを口から離し、祭星は首から吊っている右手を伸ばす。
「・・・・・・わからん」
「そこでしか生きていけないからだよ」
頬に血の滲んだガーゼをし、頭を包帯でぐるぐる巻きにされた祭星がにへらと笑う。
「私は戦うからこそ生きる意味がある。 戦わないと生きて行けない。 そういう風に産まれたからね。 逆にこっちの世界に来ちゃってからは戦う頻度が減って、このままだと生きているのかわからなくなる。 まぁだからといってむやみやたらに自分の体を傷だらけにするのはよくないけどね。 っていうのはただの持論だけど。 耶式くんがどう思ってるかは知らない。 ・・・・・・、でもそういうことは前にお互いに話し合ったんでしょ? 分かり合えたんでしょ」
「わ、私は戦いは苦手だ。 あまり強くもないし。 だけど、だからといって戦いのために生まれてきた耶式を嫌いになる理由にはならないだろう」
「うん。 だからそれでいいんだよね」
祭星はトリメイトの袋を小さく畳んで鞄の中に入れ、そしてもう一本のトリメイトを取り出してストローを伸ばす。
「好きなんでしょお互いにお互いのことがね。 現に今も抱き合ってるし」
ハッと思い出したように嘉峯が耶式から飛び退く。
「隠さなくてももうバレてるし・・・・・・。 まぁまぁ。 好きなら好きでいいよ。 好きに理由はいらないでしょ。 ね、好きなんでしょ? 一緒にいたいんでしょ?」
嘉峯は顔を真っ赤にしながら頷く。
一方、耶式はしっかりと頷いてこう言った。
「私は嘉峯様の側にいると誓いました」
「わーーーーっ!! 何言ってるんだ恥ずかしいだろう!!」
「? しかし本当のことで・・・・・・」
「あーーーもう! お前には恥ずかしいって気持ちがないのか!! もう! もう知らん!」
「嘉峯様?? ・・・・・・怒らせてしまいました」
そんな2人を見ていた祭星は大きく笑う。
「なんだ、大笑いできるのなら大した傷じゃないようだな」
と、部屋に入ってきたのは黒いキャスト。
「げっ、クロムウェルさんだ・・・・・・」
「失礼だな。 誰が君をメディカルチームに放り投げに行ったと思っている」
「いやー頼んでないですよね」
「そろそろ維持を張るのはやめて椅子にでも座ったらどうだ? 痛そうな顔をしているぞ」
図星の顔をした祭星はため息をついて近くにあった椅子に腰を下ろした。
「はー・・・・・・。 んじゃあみんな揃ったし、ちゃんとした話をしようじゃないですか。 ねぇクロムウェルさん」
「そうだな」
ひねくれていた嘉峯も、真剣な表情に戻る。
「嘉峯ちゃん。 ちょっと2ヶ月くらい、コールドスリープに入ろっか」
「・・・・・・は?」
素っ頓狂な声を上げる嘉峯。
「ダーカー因子は消さないとね。 私もクロムウェルさんもそうしてきたから。 ね!」
「今から入れば2ヶ月程度で済むだろう。 だが機会を誤れば」
クロムウェルに続いて、祭星が口を開く。
「2度と耶式くんに会えないよ」
嘉峯はまだ理解できなかった。
2人が言っている意味も、今自分が置かれている状況すら。


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