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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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信じる勇気
出演
ロワナ・ヴァルシス
アレス・フォルックス・リラ
オルカくん (氷華さん)




2回戦はカジノ。
デューラー服に着替えたロワナはため息をつきながらカクテルやらジュースを配っていた。
「・・・・・・めんどうだわ」
呟きながら時計を見た。
もうすぐで休憩時間に入る。 そうしたら彼のところに行こう。


彼とはアレスの事。
1回戦で気絶したアレス。 つい最近意識を取り戻した。 ロワナは心から喜んだが、たった一つ、喜べない事があった。
アレスはロワナの事を忘れていた。
よく言う記憶障害だ。
隣にいたラ・パーヌの事は覚えていた。 しかしロワナの名前が一向に出てこない。 疑問に思ったロワナが聞くとアレスは信じられない言葉を発した。

「お前・・・・・・誰だ?」

その一言でロワナの精神は破壊され尽くした。
何回も泣き崩れたし、何回も問いただした。
その度に「すまない」と聞いて絶望を感じた。
嘘だと信じたいのだが、これが現実。
アレスは完全にロワナの事を忘れていた。


休憩に入ったロワナはそっとカバンから何かを取り出した。
そしてそれを自分の手首に当てる。
「・・・・・・っ!!」
力を込めようとしたが、それ以上動かせなかった。
ロワナがしようとしていたことはリストカット。 何度も挑戦しては見つかり、そして失敗してきた。
彼女の手首には傷痕が残っている。
「意味なんてないじゃない、こんな世界にいる意味なんて」
そう吐き捨てたとき、後ろから声がした。
「まさか、あんたそれで割り切るつもり?」
後ろを振り向くとシャチのぬいぐるみを持った青年、オルカが立っていた。
「オルカ・・・・・・」
「リストカットして、自分が死ねば良いとでも思ってんの?」
彼の冷たい視線がロワナに突き刺さる。
黙り込んだロワナ、オルカは続けた。
「さっきアレスに会ってきた。 確かにあんたの事は忘れてたさ。 でもアレス、なんて言ったと思う? 『あの人を見る度に心が痛い』 って言ったんだぜ? それってどこかでロワナを覚えてるってことだろ!?」
「うそ。 そんなの所詮嘘にすぎない」
自嘲めいた顔で笑った。
「なんでそう言い切れるんだよ!! あんた、アレスの事を信じられなくなったのか!?」
「信じられないに決まってるでしょう!? 私のこと忘れてるのよ!! もうアレスは私の知っていたアレスじゃない。 なのにどうやって信じろっていうの、彼なしでどうやって生きていけっていうの・・・・・・」
「見損なった!! あんたそれでもアレスの彼女か!?」
オルカの言葉が一つ一つロワナに届く。 ロワナはハッとして目を少し見開いた。
「おかしいだろ!! 彼が意識を取り戻したのになんであんたはそばにいてやらないんだ! 記憶が無いからとか関係ないだろ!? アレスはあんたを信じてくれてたんだ、だったらあんたもアレスを信じろよ!!」
「アレスを、信じる・・・・・・?」
「リストカットしてなんの特になる、あんたの死を聞いて悲しむ奴らだっているんだ! 」
「誰が悲しむっていうの!? 私は誰からも愛されてなんかない!!」
「あんた、仲間の存在すらも気づけてないのか! いるだろ、自分の代わりにゲーム説明してくれたり、笑い合える友達、体調を気遣ってくれたり、あんたの事をまるで自分の本当の妹のように育ててくれた人達が!!」
ロワナが顔を上げた。
濡れた双眸が大きく見開かれて、涙が一筋零れていく。
「わ、たし・・・・・・。 そんなこと考えたことなくて・・・・・・」
手を顔に当て、泣き崩れるロワナ。 小さな嗚咽が部屋に響く。
オルカは短くため息。
「周りから見てみるとあんたって本当に高飛車。 女王さまだよ。 それにアレスが従えてるって感じ」
「よく言うわね」
苦笑するロワナを横目にオルカは続ける。
「『汚らわしい手で触れないで』とか『邪魔だから話しかけないで』とかお嬢様も良いとこ。 そのくせメンタル面は弱いし。 ほんと何様?」
「それ以上言うと捻り潰す」
「戻ったじゃん」
え?
とロワナが首を傾げると彼は踵を返しながら言った。
「ロワナはいつものロワナでいいんじゃない?」
そして部屋を出て行った。
「言いたいだけ言って帰ったわね・・・・・・。 あの男。 私より2つも年下のくせに」
そう言いながら持っていたカッターを手でへし折った。
ロワナはその折れた刃でツインテールをざっくり切った。
パサリと落ちる山吹色の髪をゴミ箱へと捨てる。 リボンも一緒に、だ。
「さてと。 吹っ切れたわ」
立ち上がり、髪を手櫛でとく。
妙に首が涼しい、頭が軽くなった。
これで彼女の1つのけじめがついたようだ。


カジノに戻るとみんながロワナを見た。
かなり涼しい顔で凛々しく歩く彼女。
それに髪が違うのなら驚くのもわかる。
「さて、頑張って仕事、進めましょうか!」
気丈な彼女の声がカジノに響いた。


運営の仕事が終わったあとにロワナは病院に寄った。 アレスの病室へ行くと彼はいなかった。
「・・・・・・?」
相部屋だった人に聞くとリハビリに行ったらしい。
リハビリ室に行くと汗を流しながらアレスが歩いていた。
ショックにより手足が麻痺しているらしいが、それも一時的。 運営の仕事に支障は出ないらしい。
「お疲れ様ね。 そこまで急がなくてもいいんじゃなくて?」
声をかけるとアレスは振り向き、そして。
転けた。
どうやら手摺りから滑って身体を支えきれなかったらしい。
「何をやっているの? いきなり転けて」
「いや・・・・・・。 あんた髪が」
「悪い? イメージチェンジなんだけれど似合ってないかしら?」
嫌味でロワナが聞くと床に座り込んでいた病服姿のアレスがはにかみながら首を振って
「惚れたよ。 すごく似合ってる。 俺はツインテールよりそっちのほうが好きだよ」
と笑顔で言った。
その笑顔に喜びながらもロワナは顔に出さず言い切った。
「そ。 じゃあ、無理せずに頑張って頂戴」
出口に向かって歩き出すロワナにアレスが声をかける。
「なぁ、あんたの名前は?」
「ロワナ」
短くロワナが言うとアレスはそれを繰り返すように小さくつぶやいた。
「ロワナか・・・・・・」
彼女は振り返って少し微笑む。
そして目の前にいる彼に言った。
「そうよ。 ロワナ・ヴァルシス。 アレス・フォルックス・リラが唯一惚れた女よ」


END


キャラ崩壊すみませんでした!!
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