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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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イカサマゲーム
出演
ヴァーミリオン・レベッカ
フェンリルくん (染井さま)
シュネーラーちゃん (右津田さま)




「ここがカジノ・・・・・・」
目の前に広がる見慣れない景色を見て呟いた。
ゲームの2回戦は「カジノ」
賭けとかは色々好きだから、嬉々として参加した。
正装した男女が話してて、ざわついてる。 こんなうるさいとこはあんまり好きじゃない。
私は手首につけているブレスレットに触れた。 行く前にシュネーラーさんから御守りとしてもらっていた。
「魔女ってカジノ得意なのかな・・・・・・」
私は大の得意だ。
麻雀をやってみようとおもう。
麻雀のエリアにいくと、対戦相手を探す。 さて、内気な私に見つかるかな?
「お前、1人?」
ふと後ろから声をかけられた。 びっくりしながらおずおずと後ろを振り返ると、灰色の髪をした男の人。
私を見上げていた。
「え・・・・・・。 ひ、1人ですよ?」
「ふーん。 あんたヴェラドニア軍なんだ。 丁度よかった、一局やろうぜ」
「へ? 私なんかとですか?」
「じゃなきゃあんたに話しかけてないだろ」
そう吐き捨てた青年。 しゅんと頭を下げて自己紹介。
「ヴェラドニア軍、研究室所属のヴァーミリオンです。 階級は少尉です」
「へぇ。 少尉。 だったら中々の腕前か?」
「いえ。 私はトップで軍学校を卒業しただけです。 親が、あれですし・・・・・・」
それだけを言うと青年は
「あぁ・・・・・・」
となるほど、というような顔をした。
うちなんて親のコネだ。
大金持ちかなんだか知らないけど、今着てる服だって「カジノの為に」だなんて言って押し付けてきた。
親バカも良いところだよ。
「俺はフェンリル。 ギルド所属だ」
「ギルドですか。 平和で良さそうですね」
「それはどうかな?」
「誤魔化す気ですか」
「軍人に知る必要があるか?」
「それもそうですね。 あまり深入りしないことにしましょう」
なんて余談をしながら麻雀台についた。
が。
「麻雀って4人勝負ですよ?」
「そうだったな」
しばしの沈黙。
「こっそり2人でやるっていうのは・・・・・・?」
「いいだろ2人で」
しかし、良くないということで、他の人も集め4人で勝負することになった。
怖いから話さないけど。
「じゃあフェンリルさん。 親よろしくです」
「あぁ。 じゃあおれからだな」
そういいながら彼は牌をとった。
それに反時計回りで進めて行く。
私は北家だから1番最後だ。
とりあえず、目標は対々和を揃える。
対々和っていうのは刻子4組とアタマ1組をつくってアガったもの。 門前だと四暗刻になる。
すごく我慢強い私ならいける・・・・・・はず。


全員が2回ずつ親にならなければいけないので、1プレーにつき14局やる。
その間によく考えた。
ポーカー面白そうだな、とか。 花札やりたかったな、とか。 喉乾いたな、とか。 そういえば研究室のパソコン持って帰ってないや、とか。
そうしてるうちに最後の1局。
今のところ対々和は成功してない。
フェンリルさんは結構強かった。 こんなところでそれをアガリにつかう? っていうような感じ。 隙をついてきてる。
長年やってるのに・・・・・・とちょっと不機嫌です。
「これで最後だな」
「そうですね。 負けませんよ?」
「最後の最後で大技を決める気か?」
「大技ですか。 国士無双くらいならお魅せしてもいいですよ」
「国士無双って大技か? そんなものすぐにできる」
「言いましたね? じゃあこの1局、国士無双できた人の勝ちにしましょう」
かなり無茶を言ったこと、後悔させてやる。
国士無双なんてそう簡単にできるものじゃない。
フェンリルさんは不敵に笑ってサイコロを振った。
サイコロを振るのは1局目だけだけどなぁ・・・・・・。


順番的には私が親になる。 北家だから最後だ。
手持ち牌は14枚。
親の牌も正しくは13枚なんだけど、1局のスタートが親のツモから始まるから手数を省く為に第一ツモを加えた14枚を最初に親に配ることになっている。
そのため、プレーはまず親がツモをせずに捨て牌をすることからスタートする決まりだ。
通常、ツモ、捨て牌をした時点の手牌は必ず13枚になっている。 槓子っていう特別な組み合わせが完成したときは14枚以上になるけど。 13枚以上のときはプレー上でミスをしている扱いになって罰則の対象だ。
私もはじめのころは何回も罰則されていた。 苦い思い出だ。
そういえば、北家とか言っていたけど、本当の読み方は
東家がトンチャ、南家がナンチャ、西家がシャーチャ、北家がペーチャという。
親は常にトンチャ。 親が移動すれば家もかわるので今のわたしは東家だ。
説明はこの位にして、ゲームに移った。
牌を捨てて、手持ち牌を見る。
結構良い手持ち。 国士無双はいけるかも。
でもまだわからない。 他のみんながどんな牌を持っているか・・・・・・。
しばらく進めていくと、六萬が3つ揃った。 このままポンも出来るけど、4つ集めてカンにもなる。 そして捨て牌として中を捨てたところ。
「ロンだ」
ひょいとフェンリルさんが中を取った。
そして卓の右端に並べた。
両端が裏返してあるからこれはカンだ。 4つあるし。
「そ、そんな・・・・・・」
「狙っといてよかったな」
涼しい顔をして、フェンリルさんは呟いた。
なにを!!
と本気になった私は(正確には挑発に乗った)絶対に国士無双を決めてやると思った。


中々終わらない。 さすがに国士無双は簡単に出てこないらしい。
ふぅ、とため息を吐いたその時。
「出来たぞ、国士無双だ」
フェンリルさんの声が耳に届いた。
顔をあげ、綺麗に倒してある彼の手持ち牌をみると確かに国士無双。
12種類の公九牌を1ずつ揃えて、残りの公九牌1種をアタマにしてアガっている。
こんなに綺麗に国士無双が揃っているなんて・・・・・・。 見たことない。
愕然とする私にフェンリルさんは笑った。
「珍しいか? 国士無双が」
「悔しいんです」
「なにが」
「自分の無能さです。 熱中しすぎて逆に冷静さを失ってましたね。 研究者にはあってはならないこと。 軍人ならそれもまた然りです」
「軍人ねぇ」
「正義が全てです。 冷静さを失って、戦っても生き残れる戦争なんてない。 私なんかよりフェンリルさんの方が軍人に合ってますね」
よくわからないというような顔をしたフェンリルさんに苦笑い。
「すみません。 一方的な考えをぶつけてしまいました。 忘れてください」
そしてフェンリルさんに銀のチップを10枚渡した。
「あんた、10枚って!!」
「カジノには一回しか行かない。 っていう約束でしたから。 全部賭けます。 それに私は研究者ですから、こういう場には似合わない。 ただ、遊びにきただけですから」
「遊び?」
「はい。暇つぶしがてらにホテルにきたら、軍の人だからって連れてこられてフェンリルさんと会って麻雀やって勝手に負けた。 それだけです」
何を言うか。 遊びにこんなドレスアップする女がいるか。 馬鹿ヴァーミリオン。
自分のアタマの悪さに笑いながらフェンリルさんに言った。
「もう、お会いする事ないでしょう。 それでもいいです。 きっと、私は1年後にはいなくなってる」
「何を言ってるんだ。 あんたは」
「本当にありがとうございました。 すごく勉強になりました。 息抜きもできて嬉しかったです。 また麻雀出来たらいいですね」
フェンリルさんだけではなく、他の2人にも挨拶をして踵を返した。
慣れないヒール。 行き交う人々。 多分向こうからはもう見えなくなってる。
エレベーターに乗り込むとあの騒がしさが嘘のように静か。
「・・・・・・なんで」
1人だけのエレベーターで涙を零した。
「・・・・・・なんであんなこと言ったの・・・・・・? 軍人失格だよ・・・・・・」




ヴェラドニア軍研究室。
着いたときは夕暮れ時。 パソコンを持って帰らないと。
研究室に入ったら、シュネーラーが出迎えてくれた。
「おかえりなさいヴァーミィ。 どうだった?」
「・・・・・・シュネーラーさん。 私・・・・・・!! 負けちゃって」
「だからそんなに目が腫れていたのね? 泣かなくなんていいのに」
「麻雀で負けるなんて、初めてで!!」
「あら? あなた『お父さんにはいつも負けるんです』って言わなかった?」
「うぐっ・・・・・・」
言葉をつまらせると、シュネーラーさんはにこりと微笑んだ。
「とりあえず、今日は早めに帰りなさい。 ゆっくり休んで明日来ると良いわ」
「じゃあ、お先に帰ります」
ヒラヒラと手を振るシュネーラーさんに見送られ、その場をあとにした。
パソコンを持って家に帰り着くとまず自分の部屋へ行った。
そのまま机に急いで、薬入れに手を伸ばす。
カプセルを呑み込んで壁に寄りかかった。
ずっと心臓が痛かった。
「ごめんなさい・・・・・・」
多分私は。


私の命はそう長くはない。

END




キャラがところどころ崩壊していますが、染井さんに右津田さん、ありがとうございました!!!

ヴァーミリオン死亡フラグがたってしましました・・・。 どうなる!?
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