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楽園の冠
自創作品「アルトストーリア」を主軸とした創作小説・漫画を載せて行きます。
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守る者、守られる者
No.001
守る者、守られる者

出演陣
ロワナ・ヴァルシス
アレス・フォルックス・リラ



誰もが眠る真夜中。
そんな暗闇の中を1人で歩く少女がいた。
綺麗な色のツインテールを揺らし、短めのパニエはフワフワと小さく左右に動く。
しかし、少女の方はただ無表情で目の前を見据えて黙々と歩いていた。
「・・・・・・」
「・・・・・・なぁ」
ふと、上から声が降ってきたので少女は足を止め空を仰ぐ。
ビルの屋上に人影があった。 それを疑う事などしなかった。 というよりする必要がない。
屋上にいるのはよく知っている親友だからだ。
「なにか、用?」
無愛想に言うと人影はその屋上から遼か地上へジャンプ。
悠に50mはあるその高さから降りてきたのにも関わらず、綺麗に着地した。
人影の正体は赤茶色の髪をした青年だった。
口元を茶色の布で隠し、民族っぽい服を着ている。
青年は少女の隣に行く。
「用もなにも。 女が夜中を徘徊して言い訳があるか。 帰るぞ」
「いやだ」
そのまままた歩き出す少女の手を掴み、強引に引っ張る。
「離して」
「俺はお前の保護者として為すべき事があるんだよ。 近頃は誘拐とかも増えてるらしいし、お前が連れ去られたら俺は誰を守ればいい? 誰に従えばいい?」
「・・・・・・」
怒りも優しさも宿った目で青年は少女を見つめた。
少女はなにも言えずにされるがまま、引っ張られる様に彼の後を歩く。
「・・・・・・アレス」
囁くような、消えかけの声で青年の名を呼んだ少女。 青年ーーーアレス・フォルックス・リラは振り返った。
「なんだ、ロワナ」
アレスも彼女の名を呼ぶ。
ロワナ・ヴァルシスは握られた手を強く握り返した。
「・・・・・・私の保護者はアレスなんだよね」
「あぁ」
「・・・・・・・・・・・・だったら親は?」
いきなりの質問にアレスは少々考え、思いついた事を口にした。
「後で教えるよ。 お前が大きくなったら」
アレスの返事にロワナは怪訝そうな顔をしたが、コクリと頷いた。
『自分の本当の親、か』
思い出しながらアレスは先に進む。
ロワナは元々、捨て子だった。
路上で倒れている所をアレスの母が見つけ、急いで連れて帰ってきたのだ。
その時のロワナは驚く程傷が多かった。
着ていた服もボロボロ。 所々血が滲んでいた。 体には痣が多い。
一目で家族の皆が勘付いた。
虐待を受けていたのだと。
介助すること2ヶ月。 やっと起き上がれるくらいに回復したロワナは怯える様にアレスに声をかけはじめた。

「・・・・・・あ、あのね・・・・・・一緒に、い、いてくれる・・・・・・?」

それが最初に聞いたロワナの言葉。
アレスはそんな彼女を見て
ずっと守って行こう。
と心に誓った。
幸い、アレスの活躍もあり、フォルックス家の人間には人並み程度の心を開くことが出来た。 アレスには1番心を開いており、人に打ち明けない事まで話してくる。
「結果オーライって事だな」
自分でも意識しないまま、呟くと隣にいたロワナが顔を下から覗く。
「・・・・・・何が?」
「いや、聞かなかった事にしてくれ。 ただの独り言だ」
「そう」
特に聞きもせず、ロワナはその話を切った。
それを境に沈黙が続いた。 話す事も見つからず、困り果てていたアレスに一つの単語が生まれた。
「ロワナは入るのか? 運営委員会に」
「"ゲーム"の事? アレスは入るんでしょう? だったら私も入る」
「お前なぁ・・・・・・」
「私はアレスと一緒にいるって決めたの」
何回も説得したが、彼女の決意は硬いらしく結局ロワナも運営委員会に所属することになった。
2人とも同じ時に推薦された。
「"ゲーム"か・・・・・・。 どうなるんだろうな、ここは」
「運営委員会は監視でしょ? それは私たちに関係ない。 時を待つだけ。 ゲーム開始まで」
毅然と言い放つロワナの横顔を眺めながらアレスは気づかれない程度、彼女に身を寄せた。
「因みにどこに入るつもりだ? 俺は番人だけど」
「得意分野を活かすため、研究系に入りたい」
心なしか弾んだ声でロワナは言った。


次の日。
信じられない程の大きな声で、聞いた事のない声でロワナが悲鳴を上げた。
アレスが飛び起き、ロワナの部屋に着くと、彼女は目の前にある大きなコンピュータの前で頭を抱えていた。
「おい!! どうしたんだ!!」
彼女が大きな声を出すのは珍しい。 よほどの事があったのだろう。
「ないの・・・・・・」
「まさかコンピュータウイルスに!?」
「違う。 ないの」
ロワナは涙目でアレスにすがりついた。


「運営委員会には研究室がないの!!!」


時が、止まった。
先ずアレスは
そんな事でいちいちショックを受けたのか
と 情けなくおもい、そして次に大事な事を思い出した。
「だったらどうするんだよ!!!? ロワナは攻撃系の異能じゃないだろ!?」
「援護系でもないわよ!! 大体私の異能。 『知力』 は研究や作戦に役立てるためにあるものなのに、運営委員会に研究室がないとしたら、私はどこに行けば良いのよ!!!!」
早口に捲し立てる彼女を見て、妙にテンションが高い事に気がついたアレス。
こいつこんなに熱弁だったっけ?
と考えながら静かにコンピュータを覗き込む。
確かにそこには広報の様なもので所属先の紹介があった。
・・・・・・ん?
今はロワナと一緒に肩を並べて液晶を見ているわけだが、何かがおかしい。
・・・・・・ロワナからアルコールの香りがする?
「なぁ、ロワナ」
「ふぇ?」
「ちょっとごめん。 口開けて。 はい、あーん」
「あーん」
アレスは胸ポケットにいつも常備してある紙をロワナの口にいれ、少し唾液に付けた。
紙はみるみる内に紫色に変化。 それを見て確信した。


「お前、酒飲んだだろ!? 未成年者!!」


紙をビニール袋に入れ、ポイと捨てながら言った。
アレスはもう20歳だが、ロワナは19歳だ。 酒などまだ飲んで良いものではない。
「お酒・・・・・・? 私はただ、お姉さんが持ってきたサンドイッチとジュースを飲んだだけ」
「姉貴が!? あの糞が・・・・・・。 で? 空は」
そっと机の上を指差すロワナ。 その先には確かに発泡酒の空き缶があった。
綺麗に全部飲まれてはなかった。
「残したのか?」
「美味しくなかったから。 苦いし」
とりあえず酒は嫌いらしい。 少しホッとしたアレス。
そのままロワナに向き合うと肩にえ手を置いて言った。
「もう飲むなよ」
「・・・・・・ねえ。 なんでアレスはそんなにこだわるの? 夜中一人で街をうろつくな、とか酒は飲むな。 とか、女の子っていうのに縛られすぎだよ」
そんなことも感じ取れないのか。
と思いため息を着きそのまま部屋を後にしようとする。
「アレス!?」
慌てて追いかけるロワナ。
「なんで・・・・・・「お前、そんな事も分からないのか!!!」
ドンっと壁にロワナを押し付け前に立つ。
「俺はただ、お前が綺麗なまま嫁に行ける様にしてるだけだ!!」
ポロリと思わす本音が出てしまい、内心焦った。
「・・・・・・」
怯えた様に自分を見つめるロワナ。 少し怖がらせてしまったかもしれない。
ロワナに手を伸ばすと彼女はビクリと身体を震わせた。 完全に怯えている。
そんな彼女の華奢な身体を初めて抱きしめた。
「・・・・・・怖かったか?」
問いかけに対し、声も上げず小さく頷くロワナ。
「ごめん。 今日はアルコール抜けるまでずっと一緒にいるから」
より一層キツく抱きしめるとロワナはアレスの胸元に顔を埋めた。
まだ、震えている身体。
彼女は弱い、だから守るんだ。
アレスは心の中でまた強く誓った。

彼女にこのゲームで血を流させない

と。

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